第18回ショパンコンクールで優勝したブルース・リウのコンサートに行ってきました〜!今回の香港でのスケジュールは
という事でわりと長く香港に滞在してくれました
コンサートの余韻がスゴすぎて、浸りすぎ。。終わってからだいぶ時間が経ってしまいましたが、私は15日と16日の両日行ったので、そのときの様子を思い出にまとめたいと思います〜
ブルース・リウ 2023年2月15日リサイタル@シティ・ホール
コロナ世の中以前なら明日と同じカルチャーセンターで行われていたと思われるショパンコンクール優勝者のリサイタル。きっと最近になって急に防疫措置がほぼ無くなってイベントがたくさん行われているため、色々と会場スケジュールの都合があるのだと思うけど、1400人ほどのこの会場でブルースさんを聴けるのはラッキー&贅沢です〜
今日のプログラム
- ショパン :マズルカ風ロンド Op.5 ヘ長調 / Rondo à la mazur in F major, Op 5
- ショパン :ピアノ・ソナタ第2番 Op.35 変ロ短調 / Piano Sonata No 2 in B-flat minor, Op 35
- ラヴェル :鏡 / Miroirs
- リスト :「ドン・ジョヴァンニ」の回想 / Réminiscences de Don Juan
感想
*今日のピアノはスタインウェイ
曲の解説などは専門の方におまかせして、個人的な感想というか印象をメモしたいと思います。
ショパン
以前ブルースさんがインタビューでショパンコンクール前のお話をしていて「コンクールでエチュードとか弾くけど。。それ以外のショパンは弾いたことがない。何故なら、ショパンはすごく議論を呼ぶから」って笑いながら話してたのを思い出し。では実際どんなショパンを弾くのだろうと楽しみに聴いてみると。。
やっぱり「ハッピーショパンだ〜」って思いました!
ブルースさんは「人々はショパンに対しノスタルジー、悲しみなど既にある程度決まったイメージを抱いている」と言っていましたが、私の中でその「決まったイメージ」を想像した時にいつも頭に浮かぶのが↓この方、アンジェイ・ヴェルチンスキさんの演奏なんです。なんて言うか。。長調のメロディですら物哀しさや憂い〜がいつも漂ってる感じがして好きなんです〜‥
でもブルースさんのショパンは対照的で軽い。明るい。
ご自身がインタビューで「不健康で体が弱い、愛国心と望郷の思いが強い‥というような(ショパンの)イメージは僕のこれまでの人生に一つもないし自分らしくない。だから喜びを表現することはとても個人的なアプローチだと言える」と言ってたのを思い出しました。演奏中いわゆるショパンの「哀愁」が無いなぁと感じたし、わたしが思っていた「ロマンティック」とは違うし、しっとりしていない。ドラマチックでもない。それでも音楽は確かにショパンで「これがブルースさんなのか〜」ってなりました。香港大学の教授がブルースさんとのインタビューで「あなたのショパンは決して奇妙でも風変わりでもありません。が、非常に独特で”ブルース・リウ”的な響きを感じます」と言ったのが頭に浮かびます。
テンポ、強弱やフレーズが自由自在、独特のリズムorリズム感も自然だけど、とても丁寧にコントロールされているなぁと感じました(あえてルバートと言いたくないような気がします)。そして‥気付けばブルースさんの世界にどんどん惹き込まれてしまっているから不思議です〜!メロディも私が思っていたのと違う音が聞こえてきたりして←私だけかもだけど‥「そこにそんな音たち隠れてた〜」みたいな時が何度かあって楽しかった!
私、ショパンコンクールを見てた時、↓この牛田さんの素晴らしい幻想曲を聴いて泣いていたのだけど。。
ブルースさんの演奏ではあんなに美しい音なのに「泣く」とか「涙」とか思いつくの忘れてました!じゃあ短調の時はどうなんだ(葬送行進曲とかあったし)と考えると。。う〜ん、これをずっと考えていたのですが‥‥ おしゃれ? って気もします。私的にどーしても↓このジャズなエリーゼのオシャレ感がつきまとってしまう。。エリーゼだって短調だし
でも軽いからって音楽が浅いわけではない。逆に深く感じたりする時もあってこれも不思議。ペダルが少ないのかな、と思ったけど一緒に行ったお友達が「フォーレなどを弾く時にすごく細かくペダルを操作する。それに近いのでは」って言ってて、なるほど〜!って思いました。
とにかく新しいショパン。人それぞれ好みはあるかもしれないけれど、私はこの音楽を否定する気持ちにはもちろんなれず。だから「YES」か「NO」かと聞かれたら。。ショパンコンクールの審査員の先生方と同じ「YES」です‼
以前この記事書いた時→ [ショパンコンクール]審査方法
わたし「個性がある演奏はYESかNOが分かれるのでは」って書いたのですが。。こんなに個性を大事にしているブルースさんのショパンに全員YES、わたしもYESだから衝撃です〜!
ブルースさんのイメージが新しすぎて、この感覚は初めてファツィオリを弾いた時の事を思い出しました。斬新すぎて音に慣れなくて、「なになに??」って「??」が頭でぐるぐるしちゃう。でもファツィオリのコーントロールしやすくエレクトリックな感じが、軽くて繊細でクリスプで音の並びが美しいブルースさんの演奏にピッタリかも〜ってなんだか勝手に納得したのです。(ブルースさん、ショパンコンクールはファツィオリで演奏していました)
生ブルース・リウのショパン初体験、わたしの感想ばかりになってしまいましたが、いつかファツィオリでの演奏も聴いてみたい!
これから私の中の「ショパンとはこういうもの」ってイメージはどこへ行くのかな〜。新しいショパンの出現にショックとワクワクで胸がいっぱいです
ラヴェル
ショパンを聴いている時から、この演奏はフレンチに合いそうと思って期待していたのですが‥。本当に素敵でした〜!カラフルで色々な景色が浮き上がっては消える。。これをずっと繰返している印象でした。飽きない。ずっと見ていたい←何か見えるから不思議。これまでラヴェルを一生懸命聴いたこと無かったけど、今回の演奏を聴いて、もっと聴きたい!と思いました♡
リスト
大変な難曲だけど終始すごく軽やかで美しく、難曲だって事を忘れてしまうような演奏ぶりがブルースさんらしい!わたしのリストのイメージとぜんぜん違って、リストってことすら忘れてしまいそう。
アンコール
- 1曲目:ラモー Les Tendres Plaintes 優しい嘆き
- 2曲目:ショパン 黒鍵
- 3曲目:ラモー La Poule 雌鶏
香港の後に控えている日本ツアーではラモーがプログラムに入っているブルースさん。アンコールで一部だけど聴けて良かった〜!フランスの作曲家はブルースさんにピッタリなイメージです♡
ブルース・リウ 2023年2月16日 with 香港フィル@カルチャーセンター
昨日に続き今日もブルースさんを聴けて嬉しい♡ 少し右よりの席にしたら、ブルースさんの足元がばっちり見える!素晴らしいペダルさばきを堪能しました〜
今日のプログラム
エルガー : 交響曲 第1番 変イ長調 作品55 / Symphony No 1 in A-flat major, Op 55
ショパン : ピアノ協奏曲第2番 Op.21 ヘ短調 / Piano Concerto No 2 in F minor, Op 21
感想
前半が香港フィルのエルガーで後半からいよいよブルースさん登場です〜
ショパン ピアノコンチェルト2番
ショパンコンクール前のインタビューでファイナルで弾く曲について「個人的には2番が好きだけど、多くの人がいろいろな意見を持っていて、全ての人を納得させる演奏をできるかどうか。。少なくとも自分は1番の方が納得できる演奏ができると思って1番を選んだ」と言っていたので、個人的に好きだという2番を一度聴いてみたいと思ってました!
香港フィル、この日の指揮はWilson Ng。始まってみると以前わたしがリンクを貼ったブルースさんの演奏よりテンポが速いような気が。。でもこーゆうのがライブ演奏の良いところかも。指揮者によっても違うだろうし、なんだか高揚感のようなものが伝わってくるし、会場はし〜〜んとして皆んなが音楽に集中しています。この日も涙とは無縁のブルースさんらしいキラキラ〜な演奏。ただ2番は1番より短くてあっと言う間に終わってしまうから寂しい。
アンコール
と思ってたら、今日もアンコール弾いてくれます〜!
- 1曲目:ショパン ノクターン 第20番「遺作」
- 2曲目:リスト ラ・カンパネラ
2曲目は冒頭を聴いて会場がうっすら「お〜」と言ってました。皆んな嬉しいに決まってる♡ そして独特で楽しいリズムとフレーズと緩急でそれはそれはおしゃれ&カッコ良いラ・カンパネラでした!
こんなに沢山の作曲家をブルースさんの世界に浸って聴くことが出来た幸せな二日間。少し時間が経つと「ブルースさんの演奏であの作曲家もこの作曲家も聴いてみたい!どんな曲に仕上がるんだろう」と更に想像は広がります。本当にこれからが楽しみ〜
ハードなスケジュールの中、世界中にステキな音楽を届けてくれるブルースさんに感謝です♡
動画リンク集
プログラム曲予習用
↓プログラムに載っている曲の予習用に作った動画のまとめ
聴き比べ
ブルースさんの音楽が新しかったので「他のピアニストさんたちと聴き比べたい」と思って見た動画のまとめです。ほとんど趣味にようになってますスミマセン
リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想 / Réminiscences de Don Juan
まずはランラン。2003年カーネギーホール。この頃のランランはコンサートのアンコールでもよくリストを弾いてくれてて、私の中のリストのイメージはランランかも。ピアノ上手すぎで改めてビックリです〜
↓ミシェル・ベロフとマルタ・アルゲリッチの2台ピアノ。いつも情熱的で戦っているような演奏だな〜って思ってるアルゲリッチ。
ブルースさんに比べて。。ランランはドラマチックだし、アルゲリッチはアグレッシブ。皆んなピアノの技術が素晴らしい〜。そしてブルースさんの演奏は美しく斬新でした。
リスト:ラ・カンパネラ
ラ・カンパネラと言えばユンディかな。音が美しい〜。テンポも好き。一斉を風靡したビデオはこちら
ランラン、上手すぎ。。
ブルース・リウ プロフィールとインタビューまとめ
上の「感想」の中にあるブルースさんの言葉は、以下のインタビューから引用しています
プロフィールは↓この最初の記事にまとめています
↓音楽いろいろ
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