表紙写真:辻井伸行OFFICIAL SITE
先日香港で辻井伸行さんのリサイタルを初めて聴いてから、辻井さんの音楽が気になって気になって。。
とにかくその美しい音色と集中力にびっくり‼ あれ以来辻井さんの演奏やドキュメンタリーの動画を見る日々が続いてます。まずは、日本人初!だったヴァン・クライバーン優勝当時はどんな演奏をされていたのだろう??と思い、辻井さんのプロフィールと一緒にコンクールの演奏動画を集めてみました!
辻井伸行プロフィール
辻井 伸行(つじい のぶゆき、1988年9月13日 – )は、日本のピアニスト。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにおいて日本人として初優勝した。上野学園大学卒業。
これまでに、増山真佐子、川上昌裕、川上ゆかり、横山幸雄、田部京子に師事している。
[略歴]
東京都豊島区出身。産婦人科医の父と元アナウンサーの母のもとに生まれる。出生時から眼球が成長しない「小眼球」と呼ばれる原因不明の障害を負っていた。筑波大学附属盲学校(現在は視覚特別支援学校)小学部を経て、東京音楽大学付属高等学校(ピアノ演奏家コース)卒業。
1995年(平成7年)、7歳で全日本盲学生音楽コンクール器楽部門ピアノの部第1位受賞。10歳となった1998年(平成10年)、三枝成彰スペシャルコンサートで本名徹次指揮、大阪センチュリー交響楽団と共演し、鮮烈なデビューを飾った。
1999年(平成11年)(11歳)、全国PTNAピアノコンペティションD級で金賞を受賞した。
2000年(平成12年)(12歳)、第1回ソロ・リサイタルをサントリーホール小ホールにて行い、翌2001年(平成13年)すぐに第2回のソロ・リサイタルを開催した。この他に、神戸音楽祭に出演するなど日本各地でコンサート活動を行っている。
2002年(平成14年)に「佐渡裕ヤングピープルズ・コンサート」に出演した。また同年、東京オペラシティ・コンサートホールで行われた金聖響指揮、東京交響楽団とのコンサートでは、モーツァルトとショパンのピアノ協奏曲2曲を演奏し、大成功を収めた。
2003年(平成15年)には齊藤一郎指揮、読売日本交響楽団と共演し、この公演は日本テレビ「深夜の音楽会」で放送された。また秋山和慶指揮、東京交響楽団とサマーコンサート2003に出演した。
2004年(平成16年)には東京交響楽団の定期公演に出演し、大きな反響を得る。
2005年(平成17年)
- 2005年ショパンコンクールに17歳で出場するも惜しくも予選敗退した。
- 6月、レオシュ・スワロフスキー指揮、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、大成功を収めた。
- 10月、ワルシャワで行なわれた第15回ショパン国際ピアノコンクールにて「ポーランド批評家賞」を受賞。
2009年(平成21年)
- 6月7日、アメリカで開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝(中国人ピアニスト張昊辰と同時優勝)。日本人として初の優勝である。辻井は同時に、ビヴァリー・テイラー・スミス賞(コンクールのために書かれた新曲の最も優れた演奏に対して授与される)も受賞した。
- 7月13日、台東区民栄誉章、および文化庁長官表彰(国際芸術部門)を受賞。
- ファーストアルバム『debut』がオリコン週間ランキングで2位となり、ピアニストのアルバムとして歴代最高位を18年ぶりに更新。また、クラシックのアルバムとして、2002年の小澤征爾のアルバム(2位)と並び最高位タイに(2009年現在)。
- 「Classical Albums of the Year 2009(クラシックアルバムセールス・チャート年間1位)」受賞(ビルボードジャパンミュージックアワード)。
- 辻井伸行が「Classic Artist of the Year 2009(優秀クラシックアーティスト賞)」に選ばれる(ビルボードジャパンミュージックアワード)。
- オリコンにてDVD『川のささやき~辻井伸行 サントリーホールLIVE!』がピアニストのDVDとして初の総売上1万枚を達成し、ピアニスト関連DVDとして歴代売上1位になった(2009年現在)。
*この後も含め活躍の詳細はこちらで見ることができます
出典:HMV より
辻井伸行 ヴァン・クライバーン 2009
コンクールのオフィシャルサイトより入賞者リストなど
ドキュメンタリー 動画 〜 ピアニストの贈り物 コンクール20日間の記録
コンクール密着番組
ヴァン・クライバーン コンクールで辻井さんに密着した番組。以下パート1〜3のリンクで、会場であるダラス入りから優勝までを紹介しています。
番組では、審査員の先生方が審査している部屋にもカメラが入って中の様子を見ることができ、先生方がヴァン・クライバーン・コンクールの目的、どのようなピアニストを求めているかなどについてお話してくれるのがとても興味深かったです。
オーケストラとのリハーサル
ヴァン・クライバーンといえば、先日ユンチャンが優勝していましたが、
これまで「どんな風に行われるんだろう」と気になっていた本番前のカルテットやオケとの合わせの様子なども番組で取材してくれてすごく面白かったし、共演の重要性や合わせる時のポイントなどを先生方が説明しているのも勉強になりました。そして辻井さんのように、目で合図出来ないときにはどのように間合いを取るのか‥と色々疑問に思っていた事もリハを見て解決しました!
そして、実際は見えない事よりも、楽団の方々とのコミュニケーションに通訳とピアノの先生が必要な事で時間がかかってしまい、持ち時間(番組では90分と言ってました)を有効に使えないという場面があったのだけど。だとすると英語が出来ないピアニストには今後同じ課題が有るという事かな、と思ったり。。
これは辻井さんを追った番組ですが、一緒に参加した若いピアニストの皆さんの奮闘を見て今のコンクールにも通じるだろうところがあったりして、ついつい夢中で見てしまいました。
動画 パート1〜3
↓時間があれば是非
辻井伸行 プログラム
コンクールプログラム
- COMPETITION PROGRAM BOOK(辻井さんは108ページ↓こんなかんじ)
演奏動画
*コンクール公式サイトとBalloon0429さんのYouTubeチャンネルからヴァン・クライバーンでの辻井さんの演奏動画をプログラム順にリストしてみました。特にBalloon0429さんは、全曲ではありませんがコンクール公式サイトには無い演奏をたくさんアップしてくださっています。各楽章ごとに動画になっている曲などは数が多いのでタイトルにリンクを貼る形にしていますが、全てYouTubeのリンクです。
PRELIMINARY RECITAL
ショパン 12の練習曲 Op.10
リスト ラ・カンパネラ
ドビュッシー 映像 第1集
SEMIFINAL RECITAL
マスト 即興曲とフーガ/ ベートーヴェン ハンマークラヴィア
マスト 即興曲とフーガ(現代曲)
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第29番<ハンマークラヴィア>
SEMIFINAL CHAMBER
シューマン ピアノ五重奏曲
*共演:タカーチ弦楽四重奏団
シューマン ピアノ五重奏 変ホ長調 作品44 第三楽章(前半)
シューマン ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 第三楽章 (後半)
FINAL RECITAL
ベートーヴェン 熱情
*残念ですけど、動画は途中までです
ショパン 子守歌
ショパン 子守歌 変ニ長調 作品57
リスト ハンガリー狂詩曲第2番
リスト ハンガリー狂詩曲第2番
FINAL CONCERTI
ショパン ピアノ協奏曲第一番
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第二番
辻井伸行 香港公演
2023年6月にリサイタルのため香港に来てくれました!
↓プログラムの詳細はこちらの記事に
↓コンサートに行ったメモはこちら
まとめ
先日香港公演を聴きに行き、今回ヴァン・クライバーンの演奏を聴いてみると。。やっぱりコンクールはコンサートとはぜんぜん違った演奏だなあと感じました!演奏会とは別の、緊張感や迫力があるように思います。そしてプログラムもすごいけど、演奏もスゴイ‼辻井さん、当時20歳なんて信じられません〜
ジョン・マスト:即興曲とフーガ
特にジョン・マストの「即興曲とフーガ」はすごいと思いました。新曲の課題曲ですが、動画「ピアニストの贈り物 コンクール20日間の記録」の中で「コンクールの2ヶ月前に初めて取り組んだ曲」と紹介されていました。あまりに素晴らしい演奏だったので、色々調べたら
ONTOMOのインタビューで辻井さんが「みんなは楽譜を見て演奏できますが、僕の場合はすべて聴いて覚えなくてはいけないので、それが大変で……」と仰っていました。
辻井さんのCDを紹介した記事には
マストの即興曲とフーガは,このコンクールのために作曲された3人の作曲家の新作のうちの1つで、3曲の楽譜を渡され、1曲 を選んで演奏することになっているのですが、辻井伸行が演奏したマストの作品は、3曲中で最も難易度の高いものだったそうです。。。辻井伸行はこの演奏で,新曲演奏の最優秀賞に相当する「ビヴァリー・テイラー・スミス賞」も受賞していました
とあり、その難曲ぶりがうかがえる。。
2017年に放送された「奇跡のピアニスト辻井伸行」の番組概要ページには
コンクールの演奏曲目で、辻井が一番苦労した曲は「現代曲」だった。
まるでジャズの即興演奏のような譜面で、暗譜するまで大変だったと振り返る。
楽譜が渡されたのは1ヵ月前、そこから辻井用の「音の楽譜」の作成にかかる。
完成まで2週間を費やし、暗譜するまで残り2週間、その間、他のコンクール曲も練習しなければならず、1日中ピアノに向かう毎日だった。
実は「現代曲」だけは、譜面を見ながら演奏することが許されていた。
しかし、辻井は完璧に暗譜するしかなかった
とあって、その道のりの大変さが伝わってきます〜
実際に楽譜を渡された時期についてはコンクール2ヶ月前、1ヶ月前など色々で本当はいつなのかわかりませんが。。新曲だし、とにかくあの曲を短期間で暗譜というハンディを乗り越え完成させただけでもビックリなのに、その上演奏が素晴らしすぎてどう表現すれば良いのか分かりません!
こちらはその「奇跡のピアニスト辻井伸行」の番組を短くまとめてくれてる動画です。
この動画の中で、ヴァン・クライバーン財団会長リチャード・ロジンスキー氏が辻井さんの「即興曲とフーガ」演奏後の会場の様子について、
「審査員が全員立ち上がって涙しながら拍手を送っていた。ふつう審査員はそんな事はしないから、ノブは審査員をも感動させる何らかの方法を持っていた。おそらくそれが彼の最大の奇跡。”信じられないほど何かを伝える事ができる”という奇跡だと思います」とお話していて。。そういう事なんだな〜と納得してしまいました。
この「即興曲とフーガ」はすごい難曲のようだけど、辻井さんの演奏を聴くと難しそう、難解そうに聴こえないから不思議です。これってもしかして、暗譜の段階で辻井さんが曲の構成を整理して、解釈して、それぞれストーリーを作ってくれているから聴いてる私たちにもすんなり音楽が入って来るのかな??と想像してみたり。。とにかく、もっともっと聴き込んでみたい!と思った曲でした。
観客の足を会場に運ばせる音楽家
コンクールでは、審査員の先生方が繰り返し「重要視するのは観客の足を会場に運ばせることができるプロの音楽家としての資質。粗削りでも将来伸びる可能性」と言っていたのが印象的だったけど。。あれから14年、今も辻井さんのコンサート会場はいつも満席だそう 香港公演も満席でした!。素晴らしい音楽を届ける為に世界中を飛び回って、まさにコンクールが優勝者に望んだ通りの素晴らしい活躍をしているんですね。
今回、香港でもリサイタルをしてくれた辻井さんに感謝の気持ちでいっぱいです。そして楽譜を見ることが出来ない辻井さんの演奏を聴いて、音楽とは。。楽譜とは。。と改めて考えさせられました。
次は、辻井さんの才能や譜読みの仕方などを紹介しているドキュメンタリーのリンクをまとめたいな、なんて思っています〜
- Twitter(音楽記事更新のお知らせしてます♡)→ おうち満喫ライフ・MUSIC
コメント