表紙写真:HKU MUSE
2018年リーズ国際ピアノ・コンクールで優勝したアメリカのピアニスト、エリック・ルーさんのリサイタルに行ってきました〜!
エリック・ルー プロフィール
2018年、20歳でリーズ国際ピアノコンクールに優勝。翌年、ワーナー・クラシックスと専属契約を結び、2021年にはエイヴリー・フィッシャー・キャリア・グラントを受賞。以来、世界の一流オーケストラとの共演や主要ホールでのリサイタルなど国際的な活動を続けている。
2022/23年シーズンには、リッカルド・ムーティ指揮シカゴ響、マリン・オールソップ指揮ロンドン響、アール・リー指揮ボストン響各々の定期公演にデビュー。ケルンのフィルハーモニー、ハンブルクのエルプ・フィルハーモニー、ロンドンのクイーン・エリザベス・ホールなどではリサイタルを行う。また2019~22年のBBCニュー・ジェネレーション・アーティストとして、ヴァイオリンのユーハン・ダーレネ、バリトンのベンヤミン・アップルと共演した。
近年では、上海響とBBCプロムスに出演したほか、リヤン・バンクロフト、ワシリー・ペトレンコ、エドワード・ガードナー、マーク・エルダー、トーマス・ダウスゴー、ルース・ラインハルトらの指揮のもと、ロサンゼルス・フィル、オスロ・フィル、シアトル響、ロイヤル・ストックホルム・フィル、フィンランド放送響、ハレ管、ロイヤル・リヴァプール・フィル、BBCフィル、ワルシャワ・フィルなどとオーケストラと共演。またリサイタルではアムステルダムのコンセルトヘボウ、ブリュッセルのパレ・デ・ボザール、ニューヨークの92ndストリートY、パリのルイ・ヴィトン財団、ソウル・アーツセンターなどで演奏した。ほかにもロンドンのウィグモアホール、ワルシャワ・フィルハーモニーホールでは定期的にリサイタルを開催している。
録音ではワーナー・クラシックスから2020年に『ショパン:24の前奏曲 ほか』をリリース、 BBC ミュージック・マガジンでレコード・オブ・ザ・イヤーの器楽部門に選ばれた。最新アルバムはシューベルトのソナタ集(2022年)。
1997年米国マサチューセッツ州生まれ。国際的に注目されるようになったのは、2015年におけるショパン国際コンクール入賞時で、わずか17歳だった。2017年にはドイツ国際ピアノ・アワードを受賞した。
カーティス音楽院ではロバート・マクドナルド、ジョナサン・ビスに師事。またダン・タイ・ソン、内田光子やイモージェン・クーバーの指導も受けている。
WARNER MUSIC JAPAN
ウィキペディア→ Eric Lu
公演情報サイト
→ Leeds International Competition Laureate: Eric Lu Piano Recital
会場:香港大学 李兆基會議中心大會堂/ Grand Hall, Lee Shau Kee Lecture Centre
↓会場の座席表、行き方、建物内の様子などの詳細はこちら
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エリック・ルー 香港公演
コロナ以降、ここ香港大学内の会場でのリサイタルが増えているようですが、1000人弱の会場で音が良く響くので気に入ってます♡ 今日の客層はどちらかといえば若めかな。男性がいつも以上に多い気がします。そして子供も多い!小学校低学年くらいの小さな子たちが頑張って聴いてます。皆んな勉強熱心です。
2018年リーズ国際ピアノ・コンクールで優勝したエリック・ルーさん。3年毎に行われるコンクールですが、ちょうど今年の9月に開催され日本からは牛田智大さんが参加して話題になっていました。セミファイナルで牛田さんが演奏したシューベルトがステキ過ぎて改めて「シューベルトって良いな〜」と思っていたところ、今日はリーズで優勝したルーさんのシューベルトが聴けるのでワクワクです!ルーさんも牛田さんのシューベルトのソナタ褒めてましたね〜
プログラム
- ヘンデル:組曲第5番 ホ長調 HWV430
- シューベルト:4つの即興曲 D.935
- ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
- ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
アンコール
- ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2
- ショパン:ワルツ第5番 変イ長調 Op.42
- ショパン:プレリュード第15番 変ニ長調 『雨だれ』Op.28-15
演奏メモ
最初の音を聴いて「音色がロマンチック!この音でショパン聴きたい」と思いました!ヘンデルもシューベルトもとにかく美しくて心地良い。表現が柔らかく繊細でサロンにいるみたい。聴いているとまるで照明が当たったように急に音が光って明るくなったり、と思うと辺りが暗くなったり。。不思議。こんな体験初めてです。ものスゴイ速さで弾いててもプッシュされることなく余裕&歌を感じます。弾きながらいつも下を向いて歌ってる。って気づいたら椅子!↓開始前、椅子を撮るつもりじゃなかったのですっごく見づらくてスミマセン
背もたれつき。何故この椅子??彼のYoutubeでも見たことあるけど、マイチェアー?学校の椅子?(香港大学の?) シューベルトの時には更に椅子を前にして深く座っていたのだけど、これってソフトペダルのコントロールの為だろうか。私の席から目まぐるしく両足が動いているのが見えました。このくらいペダル”あっちこっち”してやっとこの雰囲気を醸し出せるのか。。手の動きも超マッハで皆んな釘付け。それでも乱れることなく鍵盤の上をただ撫でているかのような滑らかな音が水が流れるように紡ぎ出されます。
「しかしこの椅子でショパン弾けるのだろうか‥。ランランのように大きく後ろにのけ反ったりしないとしても、こんなに深く座ってはちょっと??ソナタの最後はどーなるんだろう」などと余計な心配をしていると。。休憩中に普通のグランドピアノ用の椅子に交換!「そっかー、やっぱり〜!きっとあれはシューベルト用だったんだ」と勝手な想像。私は椅子の途中チェンジを見るのは初めてですが「余裕で自然な演奏に感じるけど、実はあの音色の美しさはそれだけ特別なんだ」と改めてじ〜ん。流れるようなメロディーも実は決して流されることなくしっかりコントロールされているからこそなのかな。
そして後半の舟唄。「なんか揺れるかんじが彼の演奏にピッタリそう」と思っていると本当にすごい。歌の伸びというか、音の響きの伸びというか‥とにかく美しくて滑らか。17歳でショパンコンクールに入賞したそうだけど「きっと当時からキラっと光る歌と音のセンスがあったんだろうな〜」と思いを巡らせます。
ソナタも終始素晴らしかった!絶対又聴く! ここまで繊細でデリケートなイメージの演奏だったけど、このソナタはフィナーレの最後に向かってスゴイ音量で盛り上がってステキだった。でも普通ここで重なる音の迫力に聴いてる方も包まれるというか、飲み込まれるんだけど。彼の演奏はそんな時にも歌が聞こえてくる〜! アツい演奏とどこか冷静な美しい歌‥本当に特別な体験でした。
そしてアンコール。1曲目のショパンのワルツ7番とか正直飽きるほど聴いてる人も多いのでは?スミマセン と思ってたら「違う‥今まで聴いたのとぜんぜん違う!そんな風に歌うこともできるのか」って初めて聴く曲のようでビックリ!5番も同様に歌が美しい。でもぜんぜん奇をてらった解釈でも演奏でもなく、ただ丁寧に丁寧に歌っているように見える。これまで何度となく聴いた雨だれでも、音色が深く入ってきて途中で涙出てきたほど。と既に知っている曲でもたくさんの新しい感動と発見がありました♡
それにしても‥細身な彼の控えめなかんじの仕草がなんかショパンのイメージと重なるな〜。挨拶の時の笑顔もうっすら。舞台の袖まで行くのも何か遠そうで疲れてるのかなって思ってると。。アンコールとかすぐ出てきてすぐ弾いてくれる。3曲も!最後は少し笑顔が大きくなったかな。
来てくれてありがと〜。どの演奏にもうっとりました。まだ26歳。これからが楽しみです
多くのひとに、この音の特別な感じを体験してほしいな〜って思ったリサイタルでした
エリック・ルー 動画リンクまとめ
気になりすぎて動画集めました♡
↓ショパンコンクールの時はもう10年近く前で今の方がもちろんマチュアな演奏だけど。それでも今と同じ雰囲気は感じます
↓このマズルカすごいと思った!甘切な苦しいロマンチックなかんじ、17歳か
↓リーズ国際ピアノ・コンクール
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