「ファツィオリはピアノのフェラーリ」って言われてるのは聞いたことあったけど、フェラーリを知らなすぎて、何でそう呼ばれるのかわかるよーなわからないよーな。。(どちらもイタリア製だけど)
で調べてみると、こんな記事が。
製品ラインナップは高級グランド・ピアノに限定されていて、手作業によって作り上げられるピアノの価格は世界で最も高額とされている(日本での販売価格はスタインウェイに横並びの戦略価格で、最高機種はともに2000万円超)。こう書くと、何やらイタリアのスーパーカー・メーカーのあり方によく似ているように思えてくる。
そう、ファツィオリはクルマに例えてみると、超高級車しか手掛けないフェラーリやランボルギーニのような存在なのだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/107288?page=3
なるほど、超高級ラインナップ限定のモノ造り、ってところでファツィオリとフェラーリが似てるようだ、って事ですね。
ではファツィオリの「超高級ラインナップ限定モノ造り」ってどんなかんじなのでしょう。
ファツィオリの信念 パオロ・ファツィオリ
ファツィオリ・ピアノフォルティは1981年に創業したイタリアはのピアノメーカーです。老舗メーカーが100年以上の歴史があるのに比べとても新しい会社です。
創業者はパオロ・ファツィオリさん↓
実家が家具工場だったので、家業を継ぐため大学で工学を専攻したエンジニア。と同時にピアノと作曲でも学位を取得したピアニストでもある現役のオーナーです。大学卒業後、家業で木材加工を徹底的に勉強。「世界最高の製造技術と科学的な知識と設計で最高のグランドピアノを作る」と立ち上げたのがファツィオリです。
「ファツィオリ社の信念」を見るとパオロさんが目指しているところが良く分かります。
・コンサートグランド、グランドピアノのみを造り、生産量を増やすことは考慮せず、最高のクオリティを目指すこと。
・他のどの現存するピアノをもまねず、むしろ独自のサウンドを作ること。
・由緒ある伝統的技術と最新の進んだ技術とを組み合わせてピアノを一つ一つ、手仕事で造っていくこと。
・常に最先端技術を駆使してピアノの改良に励むこと。
https://fazioli.co.jp/history/index.html
ピアノ造りに対する思いが熱い!
最初の「コンサートグランド、グランドピアノのみを造り、生産量を増やすことは考慮せず、最高のクオリティを目指すこと」というのが、超高級ラインナップと言われる意味ですね。
アップライト・ピアノや低価格帯のグランドピアノは作らない。最高のグランドピアノだけを手造りで!結果、以前記事にしましたが、年間生産台数がたった130台前後だけ。
そしてクオリティにこだわるから値段も高額。北イタリアのフィエンメ渓谷で成長したスプルースは最高級の木材だそうで、ファツィオリの響板にはここで伐採された赤トウヒが使われてます。あのバイオリン、ストラディバリウスに使われる赤トウヒも同じ渓谷から伐採されていると聞くと、高級具合もすぐに想像できます。
そして気になるのが「最新の進んだ技術」「最先端技術を駆使」ってところ。
こういった表現とか「テクノロジー」って言葉、ファツィオリ関連の記事でよく見かけるのだけど、どーゆう意味なんでしょう。ファツィオリの調律師、越智さんが以前インタビューで
「Fazioliは現代のメーカーですから、ある程度コンピュータでシミュレーションし、目指すべき音をどう実現するか、工学的にアプローチできる。」と言ってました。
興味深い!「こんな音にしたい」っていう明確なアイデアが先に有るって事ですね。
パオロさんはピアノ造りにあたって音響学なども研究されてるそうだけど、それで理想の音を決めて、あとはエンジニアの知識と熟練したピアノ技術者の技でその音を実現していくってかんじでしょうか。
でも音造りに関しては「最先端の技術」との関係とか、老舗メーカーとのアプローチの仕方の違いについてもっと詳しく知りたいところです。お話きいてみたいですね。
そしてパオロさんの言葉です。
ピアニストがピアノと格闘しているのを見るのが耐えられなかった。
もっと楽に豊かな音が出るピアノが創りたかった
http://www.piano-planet.com/?p=580
目指した音が出るだけではダメなんですね。「楽に」音が出ないと!
ここに最先端の技術が必要なんだ、と思うとホントにスゴイ‼
考え方がスゴイと思いました。
ファツィオリの活躍
こんなふうにスタートしたパオロさんの夢のピアノ造りが、世界で認められていきます。
まずジュリアード音楽院が2010年からファツィオリの購入を始めました。この時まで、ジュリアードが購入するピアノはスタインウェイのみ!
そしてショパンコンクールをはじめ世界のメジャーな国際コンクールで採用されるようになり、最近では多くのコンテスタントがファツィオリを選ぶようになってきました。
北イタリアのサチーレの工場で作られたピアノはパオロさんご本人が実際に試弾してから出荷するそうです。
先日わたしが弾いたファツィオリ。
あのピアノもパオロがさんが試弾、チェックしてOKがでたピアノだって思うと、なんかパオロさんの夢をおすそ分けしてもらったような気持ちになってきました。
高額だけど、絶対に妥協はせず常に改良を重ね最高のものだけ作る。これってモノ造りの理想だと思うけど、実現するのは本当に大変なことだと思います。
1981年なんてついこの間生まれて、成長して、今世界で活躍を始めてるのかと思うと、「わたし新しい歴史に立ち会い中なんだ!」って思っちゃいます。これからまだまだ進化していくのかと思うとゾクゾクします。来年に延期された第18回ショパンコンクールではいったい何人のコンテスタントがファツィオリを選ぶのかと思うと考えただけでワクワクだし。
ピアノのフェラーリ、ファツィオリ。これからももっともっと加速していきそう〜。
↓もっとファツィオリ!
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