表紙写真:NBA on TNT on Twitter
↓こちらはローズのエピソードとか
今日はダラス・マーベリックス(マブス)のクリスタプス・ポルジンギスと、そのお兄さんジャニス・ポルジンギスのはなしです。
クリスタプス・ポルジンギス 2015年ドラフト4位指名
2015年6月25日、 ニューヨーク・ニックスにドラフト1巡目4位指名されたクリスタプス・ポルジンギス(以下KP)。指名された瞬間にバークレーセンターはブーイングの嵐。
大人は怒って、子供は泣いてた(ホントの話し)。
何がそんなにダメなのか。。当時のNew York Postによると
1)当時長身のヨーロッパ選手のイメージといえば、ソフト=弱い。
2)背が高いヨーロピアンとみれば、みんな「第2のダーク・ノビツキー」になるって言うけど、「第2のノビツキー」なんて居るわけない
そしてこれが本音だと思うけど、
3)20歳の選手ピックして、「活躍できるようになるまで2−3年も待てないよ!」
そう、いつも「待てない」。それがニューヨーク。結局これがファンの悲劇の元なのに。
ブーイングされてKPは言いました。「ここはニューヨーク、準備はできてる」って。
“I know the fans are a little harsh sometimes,” … “But that’s how it is here in New York and I’m ready for it.”
2018年オールスター そしてケガ
その後、みんなの不安をすっかり忘れさせてくれる活躍振りで1年目の11月から1月まで3か月連続で月間最優秀新人賞に選ばれ、2018年1月23日にめでたくオールスターに選ばれるっていう快挙!
でもそのすぐ後の2018年2月6日、対ミルウォーキー・バックスとの試合(103−89で負けた〜)で第2クウォーター8分46秒残してヤニス・アデトクンボにダンクした時、左ACL(膝全十字靭帯)を切るケガをしてしまいます。
そしてその後ニックスでプレーすることはありませんでした。。
この時ニックスとKPのエージェントをしてるお兄さんとの間でもいろいろあって。その話しは機会があればいつか。
わたし的に(そして多分ニックスファンみんな)当時「お兄さんはちょっと過保護じゃないかな」とか「契約で要求が多すぎじゃないかな」といった印象があったのだけど、それにはやっぱり理由があるのです。
KPをホントに大切にするお兄さんや家族とKPについて書いてるわたしの大好きな記事があるので、それをベースにNBAに入るまでの話しをまとめてみました。
家族
ご両親ともにバスケ選手。
お父さんは6ft 4inのパワーフォワードでソ連でプロの選手、お母さんは6ft 1inでラトビアのユース代表でスター選手でした。
1998年のロシア金融危機で東ヨーロッパの経済状況が悪化して多くの人が失業。みんなが苦しい時代にお父さんはいろんな職についたけど、最終的には夜中の1時に起きるシフトでバスの運転手をしながら家計を支えていました。
KPは3人兄弟でみんなバスケ選手。2番目のお兄さんはマルティン。一番上のお兄さんがジャニス。ジャニスは現在はKPのエージェントをしてます。KPにバスケを教えたとても大切な人。
ジャニス・ポルジンギス
お兄さん、ジャニスもバスケ選手でした。
1982年7月13日生まれ。6ft 7.5in (2.02m)、 225lb.(102kg)で2000年から2013年までヨーロッパの15の違うチームでプロとして活躍。ラトビアの代表チームでも数回プレーしました。
ロシア金融危機でお父さんも失業したりして、家族が大変だったとき、「バスケで稼いだお金で家計をサポートしよう」と思い、ずっと仕送りしてきました。夏は家に帰ってKPにバスケを教えてました。
2013年の秋、クロアチアのチームに所属していたとき、練習中にコートにある広告のステッカーの上ですべって臀部の骨を折るケガをしてしまいます。
手術をした時にお医者さんには50%の確率で100%元通りになれる可能性があると言われたそうです。ジャニス自身は31歳だったけど、これまでで一番調子が良いと感じてた時期だったこともあって、もっと選手を続けたいという気持ちが強かったそう。ただ、同時に「自分がケガしたことには何か意味がある」とも思ったと言ってます。
そして家族にとって何がベストなのか、と考えた時、自分のバスケ人生はもう終わりが近づいてるけど、KPは今スタートしたところだ。KPがNBAに行けるように手助けするのが自分のするべき事だ、と思って自身の復帰を断念したそうです。
早くからKPの才能に気づいていたジャニスは、いつかKPがアメリカに行った時のために11歳から英語の塾に通わせ、NBAの記者会見について学び、バスケのスキルアップのために、毎日2時間半のシュート練習を課してきました。
そしてKPがドラフトされた2015年、正式にプロ選手から引退しました。
KP 15歳スペイン
6歳でバスケを始めたKP。この時、むかしお母さんのコーチをしてた人がKPのコーチになって、KPをポイントガードにしたのです。ここでボールハンドリングを習いました。そして15歳でスペインのセビリアというチームからの誘いでトライアウトを受けて、そのままプロ契約します。
そこまではよかったんだけど。。
寮で2人のチームメイトと同じ部屋になったけど、彼らはスペイン語しか話さない。KPは話せない。
寮で出されるスペイン料理も口に合わずに食べられない。
部屋にはエアコンが無くって、マットレスをエアコンが効いてるリビングまで引きずっていって、他にも同じようにしてるチームメイトたち7人と寝たり。
スペインでの環境が合わず、辛い毎日を過ごしてました。
すでに6ft 8in だったKPはそんな中でどんどん体調が悪化していきます。疲れやすくなり、いままで入ってたシュートが入らはいだけじゃなく、ジムに行くまでに息切れ。
最後は倒れて病院に運ばれ、そこでお医者さんに貧血と診断される。
休みの度にラトビアの家に戻っていたKPは、毎回もうスペインにはも戻りたくないって思ったけど、同時にいつもジャニスの期待に答えたいって思ってました。
ジャニスのおかげで、英語を学んだKPは、YouTubeでNBAのハイライトを見たり、映画やアニメをみてアメリカの文化に馴染んでいきます。
お医者さんに貧血と診断されてからは適切な処置もされて、バスケがどんどんスゴくなってく。
ジャニスがある日スペインに行ったら、KPは7フッターセンセーションとして活躍してて。そのおかげで有名なコーチがセビリアに入ってチームとKPの活躍が世界から注目されてくことになります。
でも活躍すればするほど、ヨーロッパ中の大きくて重たいベテラン選手に超厳しく当たられるようになったKP。それを見てるレフリーもぜんぜんファールをとってくれない。
でもKPはそこで負けなかった。コーチと一緒にNBAのスピードボールとかバンクショット、ドリームシェイクを練習したんです。そして筋トレ。アメリカに比べて、筋トレってヨーロッパの選手の間ではそれほど重要視されてなくって。(ニックスのニリキナ選手とかニューヨークにくるまで一度もウェイト上げたことなかったって言ってたし) でもKPは筋トレもしてがんばった。
NBAドラフト
活躍が始まったKPだけど、最初2014年にNBAのドラフトに行こうと思ってました。この時は全体指名のトップ15くらいに入るって言われてました。でも結局その時は体重少なくてまだ準備が十分じゃない、ってことでやめます。
でいよいよ2015年。トップ5には入ると言われてた中、ニックスに4位指名されました。そしてブーイング。。
この時の1位はカール・アンソニー・タウンズ(ティンバーウルブズ)。2位はダンジェロ・ラッセル(レイカーズ)。3位はジャヒル・オカフォー(シクサーズ)。
ドラフトの前KPはシクサーズのワークアウトに呼ばれたけど、ニックスに来たかったから行かなかったんです。で結果シクサーズはオカフォーを指名。KPはニックスに指名されました。あとになれば何がいいかわからないもんだけど。。でもKPはニューヨークで楽しかったと思う!
@ニックス
最初はニックスのドラフトチョイスに半信半疑だったカーメロやランス・トーマス。いよいよ練習です。ヨーロッパでベテラン選手が体重を武器にフィジカルに厳しく当たってきたようにKPを試します。KPはどれだけシュートを決められても、「もう一回」って言って決して諦めたり休むことはなかったそうです。
その根性を見てカーメロもトーマスもKPを認めました!
最後はカーメロに「さっきのムーブを教えてほしい」って言って仲良しになったエピソードは有名です。
参考記事:SI ”Zinger! Kristaps Porzingis is silencing doubters and taking over New York”
まとめ
ブーイングで始まったけど、ニックスでもすぐにチームメイトに認められ、大活躍でオールスターにも選出されたKP。
ケガしてずいぶん休んだけど、ニックスの次のチームもマブスに決まりプレイオフ進出。2位でシードされたクリッパーズ相手に健闘しました。
これまでの”ビッグマン”のイメージをすっかり変えてしまったKP。
1番好きな場所はゴール正面3ポイントラインを一歩下がったところ。こんなところから7ft 3inの選手が打つスリーをチェックできる人いない。その上ドリブルも上手くて2017年オールスター・スキルズチャレンジでは優勝しました。
プレイオフでKPは膝が痛くなっちゃって結局ゲーム3を最後に試合を休んだままシーズンが終わってしまいました。今回のケガは「Meniscus Tear」半月板損傷です。ニックス時代に手術した左足ではなくて右足です。
手術が必要か気になるところです。もし手術したら、このスケジュールだとケガが完治する前にシーズンが始まってしまうことがあるかな?
マブスとKPの契約は5年で約US$158million≒167億円。マックス・コントラクトです。そして今シーズンはその1年目。
マブスとしては絶対KPにはムリさせず、ひどいケガにつながらないように細心の注意を払うところですよね。
早く良くなってもらって、又ルカとのエキサイティングなプレーが見たい‼
↓今ニックスで頑張ってるのは。。
↓もっとニックス‼
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