今はコロナ世の中なので、これまでの実技グレード試験は中断されていますが、可能な状況になれば再開されます。同じ価値を認められていて現在受験可能なのが最近紹介されたパフォーマンスグレード試験です。
この2つの試験に共通しているのは、課題曲を同じシラバスから選ぶというところです。
ピアノの最新シラバスは2021−22なのですが、ピアノ以外も最近新しくなった楽器のシラバスはいくつか共通の変更があるので見てみます。
変更はいろいろあるけど、今回は課題曲関連の変更にしぼってまとめます!
課題曲のチョイスが増えた
幅広い音楽スタイルの中から選べるように、という目的から課題曲の数が増えています。
どのグレードもリストA・B・Cそれぞれ10曲ずつ、計30曲のレパートリーの中から選曲できます。
リストA・B・Cの分け方が変わった
リストA・B・Cの分け方が時代別ではなくなってます。
以前は、ざっくり言えば、バロック、古典派、ロマン派、近現代、をだいたい3つに分けてA・B・Cとリストされてました。新しいシラバスでは時代ではなくて、音楽の特性によって分けられてます。
各リストから1曲ずつ選曲することで、幅広い音楽スタイルの中からバランスよくいろいろなスキルを披露する機会ができるようにしたそうです。
- リストA テンポが速く、技術的な機敏性が要求される曲
- リストB 叙情的で、表現豊かな演奏が求められる曲
- リストC 様々な時代やスタイル、キャラクターの音楽が揃っている
とあります。
そしてプログラムを決める際には演奏する個人にもっとも適切な曲を選ぶために、先生や両親、保護者の方々とよく相談することが勧められてます。
自分に合った曲を選ぶ
↓プログラムを作る際のヒントをホルムズさんが教えてくれましたが。。
曲を選ばないと、プログラムができません!プログラムと同じくらい大切な曲選び。
新しいシラバスでは「自分にあった曲を選ぶ」という部分がすごく強調されています。
年齢や好み、育った背景などは人それぞれ。手が大きい人や小さい人、身体的特徴も人それぞれ。課題曲の全てが自分が弾きたい曲とは限らないし、弾きたい曲が弾ける曲とも限りません。だからこそ自分にあった曲を選ぶのです。そのためにチョイスが増えました。
曲選びのテクニカルな部分(作曲家や時代、拍子などがかぶらないとか)は「⑮プログラムの作り方」で書きましたが、それ以外に「自分にあった」曲を選ぶにはどんなポイントがあるのでしょうか。
- 自分がこれまで積み重ねてきたレッスン=今の技術が発揮できるのはどの曲なのか。
- 足りない技術を受験を機会に新たに学ぶとしたらどの曲なのか。
- どの曲を勉強することが、将来のレパートリーを広げるために役に立つのか。
こんな事を自分目線で考えながら選曲するのも良いかと思います。
レパートリーの中にはジャズやブルースの要素が入った曲もあり、クラシックばかり勉強していると、見たこと無かったリズムや音の配列があったりします。思いがけずワクワクしたり、簡単そうに見えて難しかったり。でも練習や勉強は楽しい!そんな曲に出会えるのも試験の楽しさの一つのような。
わたし自身が曲を決めるときにポイントにしているのは。。
- 演奏する本人が楽しく弾けるか
- 練習を聴くことになる家族やオーディエンスが楽しく聴けるか
- 新しい技術的チャレンジがあるか
- 解釈のチャレンジがあるか
- 次のステップの土台になるか
みたいな感じでしょうか。あとは将来、「何か1曲弾いて」とか言われたときに披露するのに「ちょうどイイ曲」が課題曲にあって、それが「今の実力が発揮できる曲」だとラッキーだなーって思ってます。こういった曲を試験で頑張って勉強すると、一生のレパートリーになって楽しめそう。
まとめ
新しいシラバスにはミュージシャンとして様々なレパートリーを演奏できるようにするためにも、曲の演奏が試験の中心になります、とあります。いろいろなジャンルの曲を演奏するということは、幅広い技術や解釈のスキルを披露することが要求されます。
技術的にミスなく演奏するだけではなく、A・B・Cそれぞれの曲でキャラクターの違いがきちんと表現できるかがポイントになりそう。
新しくなったシラバスとその課題曲を見て、パフォーマンスグレード試験はもちろん、今はお休み中の実技グレード試験でも、今まで以上に深い演奏が求められているのかな、と感じました。
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